2009.11.25 やがて産まれ来る命のためにうつ病を振り返る

検診で、「もうあと一週間くらいかな。お姉ちゃんも同じくらいに産まれてきたもんね」と言われた。

いよいよ、第2子の誕生が近い。

娘の言葉を信じるならば、次も女の子だが、さてどうだろう?

長女の出産は、立ち会った俺にとっても衝撃だった。

午前5時の破水。
産婦人科に到着して、産まれたのは午後の3時近く。

途中、妻は陣痛の痛みから失神した。

すでに、男の子でも女の子でも同じ名前を考えていたので、妻の手を握り、お腹を摩りながらずっと子供の名前を呼び続けていた。

失神した際には、正直あまりの状態に涙が止まらなくなった。

このまま死んだらどうしょうとか・・・。

またあの同じ痛みを妻が味わうのかと思うと、ゾッとする。
妻によれば、胎動も出産も女性にしか味わえない喜びなんだよと言う。

母は強しだ。

当時の俺は、ある施設の施設長として赴任したばかりだが、それなりにバリバリと働いていた。

それからは、いろんな面で悪戦苦闘だった。

育児は楽しかった。
お風呂やオムツ替え、深夜の3時間おきの授乳も含め、毎日妻と子供と一緒に過ごした。

少しずつ手がかからなくなり、他の事に気が行く。

お互いの家族の不仲。
原因は義父にあるが、もうそれはどうにもならない。

そして、義父、義母、妻の3人の不仲。
家族ゆえの不仲ではあるが、毎日毎日仕事から疲れて帰ると繰り広げられる無意味な家族劇場に、心身ともに疲労した。

早く、この家を出て3人で暮らそう。
そう考え始めた辺りから、歯車が狂った。

そんな気がする。

会社内部での上司、そのまた上司、果ては社長との争い。
介護を食い物にしようとするクソ野郎との暗闘。

退職→転職。

ここで大きく道を外し、妻と娘を一時路頭に迷わせる。
茨城県に越してみたが、妻がノイローゼ気味になりすぐに埼玉県へもどるはめになる。

おかげで3人でマンション暮らしになれたり、妻と義父義母の仲は良くなったりしたが・・・。

再就職した先では、初めての24時間稼動の施設ということもあり、張り切りすぎたせいか、どんどん深みにはまる。

家族3人でのマンション生活は手に入れたが、深夜の呼び出しも重なり、休日出勤も増え、義父からは「その仕事量でその程度の給料か?」との言葉もあり、再度疲労する。

そして、4月5月と休みが取れず、6月に入る辺りから何もかもが暗転する。

眠れない。
瞼を閉じると電話の音が聞こえる。
夜勤の様子が気になる。
次の日の送迎や連絡事項が次々と浮かぶ。

やがて・・・。

記憶が飛ぶ。
記録が追いつかない。
スタッフに迷惑がかかる。
でも数字は上がる。
クオリティは下がる。

スタッフからの突き上げが始まり、他部門からの突き上げも加わり、目の前が真っ暗になる。

やっているつもり・・・ができていない。

それでも、「大丈夫だよ、何とかなるよ」と自分に言い聞かせ、家ではけして仕事の話はせず。
妊娠した妻の一日の話を聞きながら夜ご飯を食べながら寝てしまったり、、、。
そして、事態を重く見た本社から、本社への異動話が出る。

妻曰く、その時期から表情も行動も少しおかしかったらしい。

介護保険請求でも、凡ミスを繰り返し、利用予約も次々と間違えたり、他施設やケアマネ、ご家族への連絡ミスも増加。

単純に自分の許容量が少ないだけだと思い、退社時間をさらに遅くすることで夜勤者のフォローと、事務仕事の手当てをしてみるが、深みにはまるだけ・・・。

いよいよ異動まであと数日というところで、「うつ病」の診断を受けた。
入院を勧められたが、自宅療養を選ぶ。
しかし、娘の遊ぼう攻撃に撃沈。
妻も徐々にお腹が大きくなったこともあり、医師と相談してマンションで1人暮らしとなる。

自傷行為の誘惑、自殺願望の表出も、ノートに思いを書きなぐる事でギリギリ超えてきた。

会うたびに新しい言葉や歌を覚えている娘。
検診のたびに大きくなっていく赤ちゃん。

不安だけが、山積みになる中で、自分の日々の行動を細かくノートに記録するようになる。
いつかまた仕事に戻ったとき、必ず役に立つはずだ。

しかし、あまりに細かすぎて医師からも家族からも止められる。

妻の実家に泊まった夜。
娘が、実家に向かう車内で「パパのお家がいい」と呟いた。
涙が出た。
金魚や、おもちゃがたくさんあるからね〜と誤魔化したが、娘にしてみれば、赤ちゃん誕生向けて変わっていく家の環境が何だか落ち着かないのだろう。

娘との時間をできる限り作ろうとする妻の努力は見ていて申し訳ないほどだ。

俺には何もできない。

思うように体が動かない。
思うように頭が働かない。

こんな父親のいる世界に産まれてくる新しい命。

どうすれば守れよう?

がんばらなきゃいけない。

早く社会に戻って、少しでも妻を、娘を守らなければ。

自分に、生きている価値が見出せるように。

自分が生きている事が、誰かの負担になる前に。

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